タイトルの恣意
誰でも世界に発信ができるようになった(なってしまった)今、溢れる情報の中で、いかに目立つかの競争が発生し、結果センセーショナルなタイトルをつける人が増えてしまったのは、実に悲しむべきことです。
「劇場型政治」やら「ワンフレーズポリティクス」などと揶揄された小泉純一郎氏が首相になったのは2001年のこと。twitterもfacebookもなかった時代ですが、もしも彼のような人が今首相だったら、いったいどんなことになっていたのか、と思うわけです。
まあ、それはそれとして。
とはいうものの、個人がやるのはまだ分かるし、ああ、この人またなんか言ってる、って発信者の質を判断するよい材料にもなったりするわけですが(笑)、メディアがそれをやるのは本当に迷惑、というか、害です。
まあ、ここの新聞は右寄りとか左寄りとか、スタンスを考えたらそういう書き方になるよね、という場合もあるんですが、ちょっとどうなのかと思うのは、特定の個人や企業をターゲットにしたような、以下のような記事。いまの瞬間、朝日新聞デジタルをチェックしただけでも2つありました。
吉野家、並盛280円開始 ライバル2社の後追い値下げ
アップル止まらぬ株価下落 ヒット見えず、サムスン攻勢
「ライバルの後追い」とか「止まらぬ」「ヒット見えず」っていうのは、誰がそういったのか?いや、例えば誰かがそう言っていたとして、それはどういう立場の人なのか。
メディアには読者の興味をひこうとするいくつかのパターンがあると思うが、企業活動に限っていうと、この二つに集約できるのではないかと思います。
一つ目は、こんなのが今トレンドです、という記事。キーワードをバンバンちりばめてきます。スマホ、最高益、過去最大などなど。ある会社をものすごく持ち上げたり。
二つ目は、今までこんなに成功していたあの会社が、こんな大変なことに、という記事。上記の2つの記事はこのよい例。報道機関ですから、中立的な立場ですよ、みたいな顔をするが、実は超恣意的。成功していた企業をあたかも悲劇のヒロインのように扱うわけです。
もし本当に中立的な立場で上記の記事にタイトルをつけたらどうなるでしょう。
吉野家、並盛280円開始 ライバル2社の後追い値下げ
は
吉野家、 並盛280円開始 大手三者横並び価格に
くらいな感じ。
アップル止まらぬ株価下落 ヒット見えず、サムスン攻勢
は
アップル株価400ドルを下回る サムスンは新製品で攻勢
ではないでしょうか。
タイトルを見て、そのまま内容を受け取って、発信者にあなたの考えをコントロールされるのか、あるいは、このタイトルの言っていることは本当なんだろうか?と考えられるか。結局は受け取る側の能力にゆだねられている、ということですね。
余談ですが。
別に朝日新聞ばかり名指して批判するつもりはないのですが、先日こんな記事がありました。
朝日新聞デジタル:新聞や雑誌の記事、指で簡単にスクラップ 富士通が開発 - 経済・マネー
おいおい、富士通さん、こんなの買う個人って誰だよ?と思っていたところに、以下の記事が。
日本発の次世代インターフェースに世界が感動! 海外の声「これこそ本物の革命だ」「日本は “未来が始まる” 場所」 | ロケットニュース24
同じものとは思えない!
記事を書く人には、それなりの知識や理解力が必要ということが端的にあらわれた一例です。ま、これは恣意的なのか、恣意的じゃないのか、わからんですが。